役に立たないブックレビュー

最終更新日 : 1999 年 10 月 31 日
  
タイトル : 魔女幻想
    作者 : 度会 好一
  発行所 : 株式会社 中央公論新社
  発行日 : 1999 年 09 月 25 日
      版 : 発行
    定価 : 860 円
    ISBN : 4-12-101494-4
    分類 : 380
魔女幻想

☆☆

これも人類の一つの狂気ですね。みんなでやったからヒトラーみたいに非難されないけどね。

121 ページより

( 現代においても、カトリック教会の法典の第 1172 条は、悪魔払いに関する規定である )
民衆がキリスト教に引きつけられたのは、カトリック教会の行う呪術的な儀式の魅力が大きかった。

まぁ、こうなると最近のカルト教団なんかと違いはないやね。すべての宗教が内包している基本的な危険性でしょね。

本書の最後の章の < 付録 > は、またおもしろいですね。魔女裁判のしかた ... その法令 ... ははははは。
まぁ、魔女裁判をおこなう最初のきっかけは、政治的なものや宗教的な争いなんてあるんだけど、途中からはマス・ヒステリアですね、完全に。
でも、この本で使用されている史料からは、思ったほどではない ... 後々の逸話 ( 噂話 ) で犠牲者の数がむやみに増えていたのもあるみたいなので、できるだけ正確な事実をもとに判断しないと、魔女裁判を魔女裁判しちゃうような事体にもなっちゃいますね。
いつの世も「正義」を声高に叫ぶ偽政者ってのが一番ヤバイね。最近だと NATO か。

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タイトル : ヒトラーとオカルト伝説
    作者 : ケン・アンダーソン
           澤田 憲秀
  発行所 : 株式会社 荒地出版社
  発行日 : 1997 年 10 月 20 日
      版 : 初版発行
    定価 : 3,200 円
    ISBN : 4-7521-0102-5
    分類 : 280
ヒトラーとオカルト伝説

☆☆

思わず笑ってしまいますね。正式なタイトルを付けるとしたら、「ヒトラーとオカルトを関係付けようとした人達のいいかげんさ」になるんじゃないでしょうか。
結果的には「ヒトラーは占星術やオカルト信者ではなかったね」ですから。

ヒトラーものというと「二重人格で気が小さい異常な小男」みたいにレッテル貼りしてから論評するような内容の本が多いですよね。オカルトベースだと「黒魔術、オカルト宗教に支配された異常な小男」なんて言いまわしになるのかな。ヒトラーなら何を書いても許されるみたいなところがあるんですね。まともな本は無いもんかね !?

くしくもこの本にも書かれているけど、オカルト、オカルト言ったって最大のオカルト集団キリスト教ベースに話なんだから、話にならないよん。神の名の元に虐殺しまくった歴史は厳然とあるし、いまだに裁判なんかで聖書で宣誓するよね。 ( そういえば他の宗派の人はどうするんだろうね ? キリスト教でなければ偽証してもいいとか ... :) ) 過去にも色々書かれたヒトラーのオカルト信奉を証明 (?) する研究書にしたってお互い矛盾だらけなんですね。大笑い。
性癖でも、本によってはマゾであったりサドであったりスカトロ好きであったり不能者であったり、まぁ、よくもいいかげな事をそれらしく書き連ねたもんですね。まぁ、それだけ謎の人物なんだろうけど、あらためて死してなお世を騒がせる稀代の人物なんですねぇ。これも結局謎のまま ...

オカルト信奉者といえば、連合軍側のパットンさんの方が数段凄いしね。
なんでヒトラーをオカルティズムにしたいかという理由も書かれていますが、

  1. オカルティズムの持つ強い力を強調すること
  2. ヒトラーの人間としての邪悪さをオカルティズムのせいにして、人の罪深さから目をそらすこと
  3. オカルティズムを標榜することで、本が売れること

きっと 3 が一番の理由だと思うよ。世の東西を問わずこの手の本っておもしろいもんね。信用度は実際ないんだろうけどね。
まぁ、当時のスイスの新聞からしてオカルティズムのせいにしてたんだから、しょうがないやね。
実際にはオカルティズムを一番弾圧していたのが、ヒトラーだったりするのにね。

性格の異常さをあらあそうとした逸話でも冷静にみれば凄いことなんですけどね。例えば、

  • 「読書傾向には統一性がなく」
  • 「会話のなかで、いつでも膨大な書籍のなかの言葉を引用することができる」
  • 「一度見たオペラをそらんじることができる」

これは凄いよね。何が問題なんやら。どちらかというと偉人伝になっちゃうよね。
絵画学校の入学試験に落ちたと言っても、数人しか合格しないレベルであれば同様に入学試験に落ちた人達は沢山いたわけだし、それだけをもって挫折感から ... なんて精神・性格分析はおかしいよね。そういうの書いた人の分析を先にやったほうがいいのではないでしょか。

マスメディアを最初にもっとも活用した政治家と言われていますから、わざと人の口に上るように噂としてのオカルティズムの怪しさを利用したのかもしれませんね。

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作成: 1999 年 12 月 19 日〜 Copyright (C) 1999 Katsauki Shimizu <katsuaki-s @_nifty.com> All rights reserved.

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