Wanton Book Review 2004-02

役に立たないブックレビュー 2004-02

最終更新日 : 2004 年 02 月 10 日

タイトル	メイドインジャパン
作者	黒田晶
発行所	株式会社河出書房新社
発行日	2001/01/20
版	初版
定価	\1,200
ISBN	4-309-01393-7
分類	913
☆☆	めずらいい横書きの小説。表示のデザインが最高。内容は退屈。問題作だそうで。ドラッグと死を刹那的に扱えば問題なのか ? 問題定義が安直すぎるきらいがありますね。問題作という定義がもっとも問題ですね。帰国子女の 4 人組のうち退屈だから死にたい奴と、退屈だから殺したい奴がいて、小説の主観がグルグル回っていくのは面白い。で、殺しちゃうだけ。「異常な死の感覚」って、ネクロノミコンって映画があったけど、あれほど行っちゃってないし、薬やってバタバタするっていうのは、「限りなく透明に近いブルー」もそうだったけど、同じパターンですね。一般社会のその時点での通念の生理的にいやがる部分を書けば問題作になってしまうというパターンなのでしょう。
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タイトル	幼虫
作者	竹川聖
発行所	株式会社白泉社
発行日	2001/06/26
版	初版
定価	\1,850
ISBN	4-592-75003-9
分類	913
☆☆☆☆	サイコ・スリラーの短編集。文句無く面白い。わからないものが、わからないまま、推移していく物語。短編なだけに余計な描写がなく、一直線に他の世界につれていかれてしまいます。淡々とした不気味な世界というとラブクラフトの「クトゥルゥフ」系などに近いのかもしれません。「クトゥルゥフ」と言ってもインスマウス人が出てくるような話ね。日常に非日常が割り込み、それがどんどん拡大していってしまう恐怖というのは、物語に読者を短い間に引き釣り込まなければならないので ( のめりこんでいないと怖さが半減しちゃうもんね ) 、作者は大変な反面、読者に与えるインパクトは大きいものがありますもんね。その中でもちょっと毛色の変わった「サナダムシ」の話がいいですね。ありがちな設定かなと思ったけど、充分にちょっと他の作品とも異なる独自の世界へ入っていけます。
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