役に立たないブックレビュー

最終更新日 : 2001 年 10 月 20 日
  
タイトル : 田沼意次の時代
    作者 : 大石慎三郎
  発行所 : 株式会社岩波書店
  発行日 : 1992 年 02 月 26 日
      版 : 第 3 刷
    定価 : 2,330 円 ( 2,400 円 )
    ISBN : 4-00-001274-6
    分類 : 210.5
田沼意次の時代

☆☆☆

なぜか悪名高くなっちゃった人ですよねぇ。不遇の人というか、どの時代も保守派ってのか強烈なんですね。この人がもう少し長く政権を運営していけたら、維新に向けてもっと違った形をとれただろうし、世界有数の政治家という評価を得たかもしれない人物でですね。
 
で、田沼意次について書かれている本かと思って読んだのですが、タイトルに偽り無く田沼意次の政権の時代にそれらの政策に関わった人々のとその時代を書いた本でした。(^^;
最初のほうに田沼意次さんがなぜ老中という権力まで上り詰めたのかということと、なぜその後悪るい評判が張り付いてしまったのかということが書かれています。特に悪い評判ですが、なんでこんな理由でレッテル張りされてしまうのでしょうね。研究者もいっぱいいるのにね。まぁ、戦災などで資料が無くなってしまっているという理由もあるのかもしれませんが。資料として残っている田沼意次さんの家族 ( 一族 ? ) に宛てた手紙が掲載されていますが、それを読めば、そんな評判は勘違いだよねってことが一目瞭然なんですけどね。
この本では主に田沼意次の政策の大きな柱でもある、蝦夷への対処、赤蝦夷への対処、印旛沼の開拓などで活躍して、その後松平定信が政権を取って不遇の時を迎えてしまった人々などについて書かれています。
しかしなぁ、それなりの功績を上げた人々が権力者が変わるだけで評価がこんなに変わってしまうのか ... 評価ってレベルじゃないですけどね、犯罪者扱いされちゃうわけですから ... たまんないよね。
権力闘争に明け暮れちゃう松平定信がなんでこんなに評価されているんだろうね。松平さんだからかな。徳川吉宗の孫だから ? しかしこの吉宗って人も御三卿なんてシステム作ちゃって後々の徳川幕府のグチョグチョの内部抗争の原因を作った人なのに評価高いよね。まぁ、目安箱とかいろいろやってはいるようでが ...
閑話休題。

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タイトル : 江戸を騒がせた珍談、奇談、大災害
    作者 : 檜山良昭
  発行所 : 東京書籍株式会社
  発行日 : 2000 年 08 月 10 日
      版 : 第 1 刷
    定価 : 1,600 円
    ISBN : 4-487-79601-6
    分類 : 210.5
江戸を騒がせた珍談、奇談、大災害

☆

江戸時代の珍談奇談を集めて読みやすくした本になります。江戸時代の「デキゴトロジー」というか一部「 VOW 」なんてところでしょうか ?
作者が小説の書くために江戸時代の資料を集めていて収集された珍談・奇談だそうですが、案外聞いたことのあるのが多いですね。ですので、あまり「おぉっ ! これはっ凄い」ってのはありませんでした。
特に珍談・奇談は、江戸時代のトピックスというか、こんな時代だったんだよってな本には必ず触れられているようなものになります。封建社会とはいいながら町人文化はこんなに華やいでいたんだとか、江戸人のこんなことを楽しんでいました的な枕によく引用されている内容です。
 
タイトルの「江戸を騒がせた」ですが、当時の情報伝達力からどの程度の江戸の庶民が騒いだんでしょうね。せいぜい瓦版か口コミですから。まぁ、江戸って今の東京の 23 区より狭いし話題的には「わっ」とひろがるのかもしれませんが、こういった分析なんかはされていないようです。もしかしたら、裕福な商人、文化人層だけかもしれないですね。
大災害はそれこそ全員に平等に降り注ぐので、地域的に江戸的には大騒ぎになったのは想像に難くありませんけど。 (^^; もしかすると大災害はページ埋めかなぁという気もしちゃいますね。
 
小説を書こうとして集めた資料ということですが、どんな小説を書こうとしていたんでしょうね。気になるのは「江戸の大災害」の項なんかで田沼意次を単純に悪者化して松平定信をすばらしい政治家みたいに持ち上げていますが、 2000 年発行の本ですから十分にジョン・ホイットニー・ホール教授などの資料も読んだ上でこういう書き方になってしまうんでしょうかね ? と、思うと他の部分のコメント (?) もそんなもんな程度のもんなのかなと思えてしまいます。まぁ、そんな程度なのかな ? 「富嶽」なんかの小説を書いている方ですよね。そんな程度の解釈なんでしょうか。ふ〜ん。
 
目次を引用するとこんな項目が書かれています。

  1. 江戸の珍談、奇談
    • 江戸馬喰町の七不思議
    • ペニスの落し物
    • 大酒大食の会
    • 精力絶倫
    • 騒動打ち
    • 八歳の子が子供を産む
    • 禁煙先進国
    • 謎の囚人
  2. 江戸を騒がせた人達
    • 白子屋お熊
    • 日本左衛門
    • 馬場文耕
    • 奥坊主「清伝」の島流し
  3. 江戸の謎の事件
    • 大阪城の千両箱紛失事件
    • 脇坂淡路守安董と延命院事件
    • 髪切り魔
    • 浅草に人が降る
    • 大奥殺人事件
  4. 江戸の大災害
    • 明暦の大火
    • 天明の大飢饉
    • 永大橋の崩壊
    • 安政の大地震

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作成: 2001 年 10 月 20 日〜 Copyright (C) 2001 Katsauki Shimizu <katsuaki-s @_nifty.com> All rights reserved.

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