オーディオテクニカ AT8511 FM カー・ワイヤレス・マイクむせんごっこ Hello

最終更新日 : 2012 年 07 月 29 日

誰でも携帯電話を持っている現代には考えられない製品です。当時はグループで車で行動する時に意思疎通を図ろうとすると、トランシーバーとしてハンディのアマチュア無線機を使うか CB 無線機を使うしかありませんでした。
これはカー・シガライター・ソケットを使った FM トランスミッターで手軽に通信する装置として発売されていました。もちろん、きちんと通信したければハンディのアマチュア無線機等が必要でしたが、「まぁ、通信できたら、面白いね。」の「お遊び」コンセプトと思われます。製品名も「むせんごっこ」だもんね。
こんな製品がオーディオ機器メーカーから発売されていたんだというのは驚きでしょう !! FM のワイヤレスマイクは既存製品として持っていたでしょうから、それをアイデアで力技で製品化してしまったのではないでしょうか。
1984 年頃購入だと思う。

使用感

パッケージはすでにヨレヨレになっていますが原型を留めていました。特徴は以下のように書かれていました。

車のシガーライター・ソケットにさしこむだけで OK 。カーステレオやラジカセで受信できる FM ワイヤレス・マイク。
ドライバー・シートからも更新できる高感度な無指向性エレクトレット・コンデンサー・ユニットを使用。
妨害電波を避けて周波数を選べる送信周波数可変方式。デジタル・チューナーでもジャスト・チューニング。

使い方は簡単。自分の車のシガーライターに「むせんごっこ」の 1 本を差し込んで自車の FM チューナーでマイクからの音が聞こえるようにチューニング。相手の車では同じ事をもう 1 本の「むせんごっこ」でおこないます。それでお互いの「むせんごっこ」交換します。交換した相手の車でチューニング済みの「むせんごっこ」をシガーライターに差し込んでアンテナの先を適当な場所に吸盤で貼り付けます。これでおしまい。 FM チューナーからは相手の車内の音が同じようにセットされた「むせんごっこ」を通じて聞こえてきます。

あとは走るだけ。車内で騒いでいるようすが相手の車にも聞こえるというわけです。出力的には弱いので状況により聞こえなくなったりすぐになりました。まぁ、その聞こえたり聞こえなかったりがまた楽しいんですけどね。

実用性があったか ... あったと思います。距離的につねに会話ができなくても、必要な会話の場合は後ろに付いたり、有料道路なら追い越しがてら横に並べば伝える事ができましたから。まぁ、多人数でガヤガヤしながら使う機器ですね。そういう状況でしか使いませんでしたので。もし、車内一人だとラジオが占有されてしまいますのでちょっと辛いよね。

実使用状況としては、通信距離は長くはないので車のラジオアンテナがどこに配置されているかにも影響したように記憶しています。当時は車のリアガラス近辺にラジオアンテナが配置されている車種が多かったので、後ろから追従してくる車の音は聞こえる可能性が高かったように思います。逆に前を走っている車の音声はロストする事が多くなります。相手は聞こえているようだけど、こちらでは相手の反応が聞こえないというのは、なかなか不思議なコミュニケーションになって面白いものでした。

以下に取扱説明書より仕様を転記します。

AT8551 テクニカルデータ
発振周波数	76 - 90MHz ( L タイプ - 76MHz, H タイプ - 78MHz にセット )
変調方式	FM
電界強度	距離 100m で 15μV/m 以内
到達距離	野外 ( 見通し良好 ) 直線距離で約 50 ～ 100m
アンテナ	アンテナリード線
電源	カー・バッテリー ( 12V 、シガーライター・ソケット使用 )
寸法 ( アンテナ部を除く )	φ20.5 x L98.0mm
重量	26g ( 本体のみ、 1 本当り )
マイクユニット	エレクトレット・コンデンサー型無指向性
付属品	コア・ドライバー、吸着盤

以下はマイク部分です。このマイクが無指向性とはいえ、車内のかなり広い範囲の音声を拾うんですよね。マイクの周波数特性でしょうか、ノイズは伝えず音声だけ拾うというなかなかの優れものでした。 ( ノイズがどうこう言う通信品質かという問題はありますが。 (^^; )

周波数は 76MHz と 78MHz にセットされていました。周波数は変更可能で周波数を変更するための付属品であるコア・ドライバーはさすがに無くなっていました。そのドライバで約 30°まわすと 1MHz 出力周波数を変更することができました。

AT8511 むせんごっこ

こういう遊び心をくすぐる製品って良いですね。なんと Made in Japan だし。

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